ストレンジ・デイズ
The Fillms、その他神戸を中心に活動するバンドでドラムを叩いている三木健弘のブログ
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バンド・オブ・ザ・デイズ 5
目覚ましがなる。何かの襲来を告げるようなサイレン。

体を起こして、窓の外を見る。
一階に降りて、トイレに行き、冷めきった食パンを口に放りこみ
オレンジジュースで流し込む。そしてホっとため息をつく。
こういう行動は人間の成せる偉業だと思う。
きっとコアラやシマウマ、そして太平洋をゆったりと泳ぐクラゲにはきっと味わえない日常だ。
生きているとはこういうことの連続で、ちょうどフィルムを張り合わせるように、一本の映画を創るように成り立っていくのだろう。

自転車を漕いで学校に向かう。
道端には無数の春が息をしている。
僕はとりあえずいつも通りの場所に自転車を止め、いつも通りの景色の下に溶け込んでいく。
しかし少しづつではあるけれど、それは変化を続けている。

*

ある時から、自分の中で淀みのようなものが現れた。
始めは、気にも留めていなかった。
しかしそれは歳を負うごとに細胞分裂のように勢いを増して増殖していった。
一体何かもわからない。
それは今も尚、僕を蝕んでいることだけは確かだった。

*

「おはよう」という快活な声が響く廊下には、その裏に存在する不安や想いや期待が交錯しているようにも見える。
時間とはここまで雰囲気を変える魔力を持っていたのか、と思う。
「18歳になる」とは、いや「大人になっていく」という事は。
教室に入る。
昨日ほどの余所余所しさは無かったが、それでも何処か不安定な何かがあった。
それは僕だけだったかもしれないけれど。
自分の机に向かっていく途中で、誰かが僕の肩を自信なさ気に叩いた。
「おはよう」
高見だった。少し気だるそうな表情には、昨日の夜の快活さは無かった。
「おはよう。…大丈夫?」
「頭痛がさ、ちょっとさ、そうなんだよ。」
途切れ途切れの言葉に、僕は思わず笑ってしまった。
「昨日はさぁ・・・・」
昨日の事を話そうと思ったが、僕は余り覚えていないことに気付く。
「昨日・・・昨日、俺が何か言ってたか覚えてる?」
「しらねーよ、途中から記憶がねーもん。」
あんなに楽しかったのにな。と呟きながら、酒で濁った記憶の貯水池の中の魚を二人で探り当てる。
ただやはりそれは難しいことだった。
少し思い出しては、喋り、笑い、二人で頭を抱えた。
そんな事を繰り返しているうちに、チャイムが始まりを告げた。

*
一時間目は世界史だった。
第12章フランス革命の13行目を先生が読み上げている時、山川はやってきた。
山川が入ってきた途端、クラスメイトは一斉にドアに視線を投げかけた。
「遅刻した理由は?」
先生が「遅刻・早退者対応マニュアル」でも読むような口調で言った。
「いやぁー、どうも頭痛が酷くて・・・でもね・・・」
先生は彼の言い訳を、諦めたように断ち切って、自分の机に行く様に指示した。
そして彼は、自分の席を探す。
相変わらず、黒く大きな鞄をだらしなくぶら下げている。
彼は空いてる席を見つけると、そこにへたり込むように座った。
それから、止まった世界は14行目へと動き始めた。

*
授業が終わって、山川の席へ向かう。
「今日はどうしたんだよ。」
僕は山川に尋ねた。
彼はあくびをしながら言う。
「そんなことよりさ。昨日の事覚えてる?」
彼に質問は無駄らしい。
しばらくあって、答える。
「覚えてない。ぜっんぜん。」
「だよなー。俺もなんだよ。」
「そんなに飲んだのかなー。」
うなだれるように椅子に座っている山川に高見も近づいてきた。
「大事なことがあったような気がする。」僕は言った。
「そうなんだよなー。」

それから僕は山川、高見を交えて、討論会を始めた。
「昨日あった事、思い出す会」
名前は僕が勝手に決めた。
それは2時間目の終わりまで続いた。
そしてそれからは、なんでもない今日のことを話し始めた。
なんでもない今日の事を。何度も何度も笑いながら。

*

昨日の事。
それは本当はどうでもいいことなのかもしれない。
そんな風に僕は思う。
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